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中楽坊の現場から

2021年03月23日

入居者に祝っていただいた、『私だけの成人式』~中楽坊の実話:5

ライフアテンダントに聞いた、入居者の方々のエピソードを連載しています。

――成人を、入居者に祝っていただいたそうですね。
はい。私は神奈川県の出身で、今は神戸の大学に通っています。中楽坊には週に3回、夕方に働いています。2月に、入居者の皆さんに成人のお祝いをしていただきました。びっくりしましたけど、ほんとに嬉しかったですね。

――きっかけは?
もともとは、アテンダントの先輩方と雑談をしていたときに、神奈川の地元の成人式がオンラインになってしまったので帰るのをやめましたって言ったんですね。せっかく前々から決めていた着物を着ても、家に居てオンラインで成人式を見るだけなら、わざわざ神奈川まで帰る必要はないかと思います・・・って話したんです。とても残念だったので、つい話をしたくなったのかもしれませんけど。
それが、1月の初めの頃でした。後で聞いたんですけど、それからアテンダントの先輩たちがいろいろと考えてくれたみたいで、私のためにここで成人式をやってあげようって。ほんとはもっと早い予定だったようですけど、コロナで緊急事態宣言が出て、集まってやるのが難しくなったので2月の下旬まで延びてしまったそうです。

――その話を聞いたときは、どう思いました?
着物、着付け、髪結いまで全て準備してくださるっていうので驚きました。そこまでしてくださる職場ってすごいなあと。私のことをそこまで考えてくださっているのかと思って、ほんとに嬉しかったです。

――着物も用意してくださって。
着物は、アテンダントの先輩がお持ちのものです。赤のとっても可愛い着物です。それだけではなくって、その方のお母さまが着物に合う赤いマスクを作ってくださったんですよ。私の話をしたら、あの着物に白のマスクはダメだっていうことになったようで。先輩は50歳代ですから、そのお母さまだと80歳くらいかもしれませんよね。そんな方の想いの詰まって赤いマスクにも感激しました。

――ここまでの話を聞くと、入居者は出てきませんが?
着付けと髪を済ませて、中楽坊に行ったんですね。入居者の邪魔にならないようにと思いながら、遠慮しながらロビーで写真をとったりしていたら、当たり前なんですけど、出かける方や買い物から帰って来られる方が、「あらー〇〇ちゃん!、どうしたの?」って感じで集まって来られまして・・・。いつもは制服を着て、髪型も違いますから私だと思わなかった人もいて驚いておられたり。しばらくすると、大浴場に一番風呂に行かれる方が洗面器を持って寄って来られたり。そうして結局、二十人くらいの集まりになってしまいました。(笑)

――ヒロイン状態ですね。
どうでしょうか。でも、同じ世代の人で祝い合う普通の成人式とはまったく違う嬉しさはあったように思います。

――たくさんの、おめでとうの言葉ももらえたでしょうね。
そうなんですが、それよりも「早く言ってよ」って言われちゃいました。
「あなたに、私の着物を着て欲しかったなあ」とか「そんなお金を使わなくても、私が着付けをしてあげたのに」「言ってくれたら、美味しいものでも用意していたのに」とか。
それと、外出しようと通りかかった男性が事情を聞いて、「それじゃあ、写真を撮ってあげよう」と自室まで引き返してカメラを持って来られたんです。立派なカメラです。ずっと趣味で写真をしてこられたそうです。いっぱい写真を撮ってもらいましたし、集まってくださった人で集合写真を撮りました。すごくいい記念になりました。

――親御さんには、報告しましたか?
はい、もちろんです。母は喜びながら、「ホントに良かったね!幸せものだねえ」と笑っていました。それはそうですよね。祖父母のような入居者や、親世代の仕事の先輩がいたら普通は叱られたりして、萎縮してしまうと思うんですけど、逆に、心配してもらっているんですから。(笑)
この物件の入居が始まってからまだ9カ月ですが、たったそれだけの期間でそんなに可愛がってもらえるのはありがたいことだと思います。

――今回の成人祝いを通じて、どんなことを感じますか?
二つありますね。一つは、入居者の方には色々なスキルを持っておられる方がいて、普段はそれをまったく表に出されないんですけど、皆さんすごいなあと。実は、学べることがすごく多いんだと思いました。
もう一つは、中楽坊というのは、昭和のご近所さんみたいな感じなのかなということ。もちろん私は生まれていないので分かりませんが、気軽な声掛けや助け合いや見守り合いがあって、いつもは自由だけど何かあったときには心強い感じがします。だから、私たちアテンダントもその一員でいようと思いました。「近所に住む娘や息子のように」というのが、私たちのありようだと教わりましたけど、その意味が分かりました。もっとも私は年齢的に、「娘」は無理で「孫」にしかなれないんですけど。(笑)

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