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老いを学ぶ

2016年02月01日

老いの工学研究所提供

未婚率の上昇(未婚者の増加)が、日本人の寿命に与える影響。

老いの工学研究所

様々な調査で、「未婚者は、既婚者に比べて早く死ぬ可能性が高い」ということが指摘されています。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、40歳時の平均余命(1995年時点)は、男女ともに未婚者の平均余命が既婚者よりも8年以上、短くなっています。

また、アメリカ・ルイスビル大学の研究グループは、「約5億人のデータを分析し、既婚者と比べて独身男性の寿命は8~17年、独身女性では7~15年も短くなることが分かった。」と発表。他にも、アルファ社会科学㈱・主席研究員の本川裕氏によれば、未婚者の年代別・死亡率(既婚者を1とした場合)は以下の通りで、45歳を超えると未婚者の死亡率は、男女とも既婚者の2倍近くになるようです。

既婚者が平均的に長生きできている理由としては、病気や緊急時に発見されやすい、食生活や栄養状態が良くなりやすい、生活習慣が健康的になる、孤独など生活面のストレスがないといったことが考えられますが、思った以上に差が大きいというのがほとんどの人の感想ではないでしょうか。

日本の未婚率は上昇を続けています。未婚者が既婚者に比べて平均的に短命であるとすれば、日本人の寿命は今後、短くなっていくのかもしれません。

1990年の「30~34歳・未婚率」が男32.8%、女13.9%で、その世代の未婚率が20年後の2010年に男20.1%、女10.6%になっていますから、50歳までに男で12%、女で4%が結婚したことになります。同じようなトレンドであれば、2030年の生涯未婚率は男35%、女30%となります。このような未婚率の上昇によって平均余命はどう変わるでしょうか。

男性では2010年に比べて、約15%が8年早く死ぬ計算なので、平均余命は8年×0.15=1.2年短くなります。女性は、約20%が8年早く死ぬので、1.6年短くなります。

寿命には医療技術や衛生状態、諸制度など様々な要素が影響するので、このような単純な予測は強引かもしれませんが、未婚率の上昇は、右肩上がりに伸びてきた寿命にストップをかける要素にはなるように考えられます。

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