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老いを学ぶ

2012年11月28日

【寄稿】お口の健康(1)「顎マッサージ」のススメ

歯科医師 小倉才子

食べるということは、幸福感を味わうことのひとつでしょう。また私たちは食べることによって、生命を維持しています。

お口の健康は、身体の健康と密接な関係があるのです。歯が痛くて物が食べられない、噛めない、入れ歯の具合が悪くて困る・・・、そのような状態では折角の美味しい食事も美味しいと感じられなくなってしまいます。

東洋医学の観点からいいますと、親から受け継いで持って生まれた気を先天の気、食事や呼吸で取り入れる気を後天の気と言い、どちらも不足していると元気がなくなると考えられています。後天の気である食事からの気(エネルギー)はとても大切なんです。

ではお口の中を健康な状態に保つためにどうしたらよいでしょう?まず思い浮かぶのは歯磨きだと思います。歯を磨くことはとても大切です。

人類の歯磨きの歴史は古く、古代エジプトにその記録が残っているそうです。日本では平安時代の宮中医官である丹波康頼撰による日本現存最古の医学書「医心方」に、「朝夕歯を磨けば虫歯にならない」という記述があり、記録としてはこれが日本最古の歯磨きの記録だそうです。またお釈迦さま(紀元前5百年頃)が、弟子達にこの歯本で歯を清潔にすることを教えられました。インドではニームという木の枝を用いたそうです。中国にはこの木はなく、楊柳(ようりゅう)を用いたので、「ようじ」を 柳(やなぎ)の枝、すなわち楊枝と書くということです。

実際の歯磨きのやり方については、是非担当の歯科医の先生や衛生士さんに直接習うことをお勧めします。歯科では歯磨き指導は重要な治療の一環になっています。

私は別の角度から、お口の中の状態を改善する方法をお話したいと思います。虫歯にとっても歯周病にとっても、そして入れ歯が安定するためにもとても大事なことがあります。それは唾液が十分出ているかどうかということです。

唾液には口腔内を洗浄し、免疫力を高め、入れ歯も唾液が存在することによって安定するという効果があります。ですから唾液がしっかり出ているかどうかがお口の中の環境に大きく関わります。

では唾液はどのようにしたらよく出るようになるでしょうか?

緊張しているとお口の中は渇きますね。ハラハラドキドキしていると口が渇いてきます。緊張しているときは自律神経の交感神経が優位に働くので、ねばねばした唾液が出てきます。リラックスしているときはさらさらしている唾液が出ています。つまり緊張せずにリラックスした状態にすれば、さらさらとした唾液が十分出てくるということになります。

では身体がリラックスするにはどうしたらよいでしょうか?

実は「かみしめない」ということが大切です。上下の歯は、リラックスしている時、2,3mm離れているのが正常な状態です。これを安静位と言います。上の歯と下の歯が当たって、ぎゅーっと噛んでいますと身体は緊張してしまいます。口元を少し弛めて、ちょっと微笑んでみて下さい。身体の力がすっと抜けます。肩の力が抜けて身体が楽になります。かみしめないためには以下のことが有効です。

1 かみしめないと意識する
2 顎を引いて身体がリラックスした顎の位置を身体で覚える
3 身体を温める
4 顎マッサージ
5 鎖骨下マッサージ

この中でもかみしめを改善するのに良い方法は「顎マッサージ」です。顎の先をつまんでやや下に向かって引っ張りながらマッサージをします。1日3回1分位づつするだけで、身体はとってもリラックスしてきます。

顎の下には顎下腺という唾液線もありまして、そこも刺激されて唾液もよく出るようになります。

テレビを見ている時やお風呂に入っている時に是非お試し下さい。毎日の習慣になさることをお勧めします。

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