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老いを学ぶ

2012年12月21日

【寄稿】お口の健康(2)「唾液の効用」

歯科医師 小倉才子

今回は唾液の効用についてもう少し詳しくお話しましょう。
唾液は唾液腺で作られ、1日に約1.5L分泌されると言われています。大きな唾液腺は大唾液腺と言われ、この中には耳下腺、顎下腺、舌下腺があります。また小唾液腺が口腔粘膜に存在しています。
唾液の役割は以下です。

1)唾液には消化酵素のアミラーゼが含まれ、消化を助けます。
2)食べ物のかすを洗い流します。
3)発音や会話をスムーズにできるようにします。
4)抗菌作用のあるリゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンが、病原微生物に抵抗します。
5)食べ物を溶解し、舌で味覚を感じさせます。
6)歯の表面の再石灰化を行い虫歯の進行を防ぎます。
7)お口の中のphを一定に保ちます。
8)粘膜の保護

さらにEGF(上皮細胞成長因子)が唾液中にあることで、傷口が早くふさがることがわかりました。更に唾液には細菌からの感染を防ぎ、止血して傷の治りを早くする優れた作用があることが確認されています。

動物も傷口をなめて治しますね。人も指をケガした時など指を口に入れますね。
また最近の研究によれば、広島大学の研究グループが「マイクロRNA」の一つで「miR-22」に細胞分裂を抑制する作用がある事を確認したそうです。
転移性の強いガン細胞を複数のマウスに移植し、そのマウスに「miR-22」を投与すると1ヶ月ほどでガン細胞が3割に縮小したとのことです。この成分は人間の唾液の中に含まれています。

唾液にはこのようにたくさんの重要な働きがあるのです。ですから唾液がよく出ていることはとても重要なことです。
一方、唾液の分泌が低下する原因には以下のようなことが考えられます。
1)加齢
2)ストレス
3)唾液腺の障害
4)偏食
5)喫煙
6)全身疾患によるもの
7)薬剤の副作用
8)放射線治療の副作用

重篤な場合はシェーグレン症候群などになる場合があります。

では唾液を十分出すために有効なことをお話致しましょう。

まずはよく噛むことですね。食べ物をよく噛んで食べることが大切です。できましたら楽しいお食事であるとよいと思います。
また前回お話しましたように、リラックスしている時は、サラサラとした唾液が出てきます。
緊張していますと口の中は乾いて、ネバネバとした唾液が出てきます。
水分の取り方も重要ですね。
身体が水不足になっても唾液の出方は悪くなると思われます。できましたら温かい水分をこまめに取ることをお勧めします。
また口呼吸と言いまして、口がポカンと開いていても口の中は乾燥します。上下の歯と歯は離していますとリラックスができるのですが、唇は軽く閉じている状態が理想的です。
心理的なことが原因で、唾液が出にくい場合には何か楽しいことを探してみましょう。
悩んでいることばかり考えていても前へ進みませんので、ご自分の好きなことをして発散してみて下さい。ちょっとリラックスして唾液が出てくることと思います。
薬の副作用で唾液が出にくくなっている場合には担当の先生に相談してみて下さいね。
薬を変えて頂けるかもしれません。
そして前回にもご説明した顎のマッサージをすると唾液腺が刺激されて唾液が出やすくなります。
どうぞお試し下さいませ。
(参考:唾液の科学 石川達也、高江洲義矩監修)

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