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老いを学ぶ
2013年03月13日
「歯周病(歯槽膿漏)予防のポイント」~お口の健康(5):
歯科医師 小倉才子
今回は歯周病のお話です。
以前は歯槽膿漏と言われていました。
お口の中の細菌が引き起こす感染症です。細菌の攻撃に対する私たちの抵抗力つまりは免疫力が低かったり、細菌の力が免疫力より強かったりすると、歯周病は進行して、歯肉や歯槽(しそう)骨(歯の周りで歯を支えている顎の骨)などの歯周組織を破壊していくようになります。結果的に歯を失う原因となります。
歯周病は、歯肉炎と歯周炎に大別されています。歯肉炎は歯肉に限局した 炎症で、歯槽骨や歯根膜(しこんまく:歯の根を取り巻く薄い膜)が破壊される段階までは進行していないものをいい、歯周炎は歯肉炎が進行して歯槽骨や歯根膜の破壊や吸収が生じる段階まで深く進行したものをいいます。
細菌は歯垢(プラーク)の中に住みついており、歯垢1mgの中には10億個もの細菌がいると言われています。そしてむし歯や歯周病をひき起こします。 その中でも歯周病をひき起こす細菌が特異的に存在していることが解明されています。
歯垢(プラーク)は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着します。 これは歯磨きだけでは取り除くことができません。この歯石の中や周りに更に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けます。
以下ご自身のお口の中をチェックしてみましょう。
(日本臨床歯周病学会HPより)
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
□ ブラッシング時に出血する。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がむずがゆい、痛い。
□ 歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
□ かたい物が噛みにくい。
□ 歯が長くなったような気がする。
□ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
*上記の項目3つあてはまる:油断は禁物です。ご自分および歯医者さんで予
防するように努めましょう。
*上記の項目6つあてはまる:歯周病が進行している可能性があります。
*上記の項目全てあてはまる:歯周病の症状がかなり進んでいます
歯周病が軽度の方でも歯科医院での定期検診とクリーニングを受けることをお勧めします。基本的には歯磨き指導や歯垢、歯石の除去、ただしガリガリと歯石を取るような治療ではなく、歯の表面をできるだけなめらかな状態にすることがよいと最近は言われています。歯周組織を破壊しないように行うことが重要です。
歯周病が進行すると、歯周組織の健全な回復は非常に困難です。ですから現状では、歯周病にかかってしまったら歯周病がそれ以上進行しないようにする進行防止治療が標準治療となります。
ただし歯周病の進行状態によっては、これらの初期治療だけでは治癒が見込めない場合も多々あります。その場合はフラップオペ(歯肉を剥離して歯石や不良な歯肉の除去)などの外科処置や、場合によってはGTR法(破壊吸収された歯槽骨や歯肉などの歯周組織を再生する外科処置)などの再生治療を行ったりすることもあります。
まとめてみますと、まずは毎日の歯磨きによって歯垢を除去することがとても重要です。
そして最初に書いてありますように細菌に負けない免疫力も大切です。これは食事やストレスをため過ぎない生活など生活習慣が大きく影響を及ぼします。
そしてまたかみしめないことも大切です。何度も書いておりますが、かみしめていますと交感神経が緊張し、身体が硬くなり、唾液の出方は悪くなりお口の中が乾き、唾液による自浄作用が落ちます。さらに歯と歯周組織に持続的に力が加わることによって、周辺の組織が破壊され易くなってしまいます。リラックスしている時は、安静位(上下の歯と歯が2,3mm開いている状態)を保ちましょう。顎マッサージなどにより顎周辺の筋肉を弛めることが大切です。
歯磨きによるお家でのケア、そして歯科医院でのメインテナンス、さらに身体全体から考えた免疫力のアップ。そしてかみしめの改善、すでに歯周病が進んでしまった方も現状を少しでも良くして、歯を長持ちさせることはできますので、かかりつけの歯医者さんとご相談しながらケアを続けて下さいね。
歯周病は痛みもなく進行しますので、早めにご対応下さい。
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