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老いを学ぶ

2013年07月02日

【寄稿】お口の健康(8):「顎関節症の原因と改善策」

歯科医師 小倉才子

顎が痛くなったり、口が開けにくくなったりしたことはありませんか?
そのような症状が出た場合は、歯科で顎関節症(がくかんせつしょう)と言われます。歯科の疾患の中で最近急増してきたといわれています。
顎関節は頭蓋骨のひとつ側頭骨にあるくぼみー下顎窩(かがくか)ーと下顎骨の関節突起部分の下顎頭を連結している関節です。顎関節は口を動かすことで、回転運動だけでなく、前方へ滑走運動を行うことが可能なため、下顎骨は複雑な動きを行うことができます。

顎関節症は顎の関節を中心としてその周囲に起こる障害の総称です。口を大きく開けようとしても、こわばって開かなかったり、口の開閉時にカクンと音がしたり、関節や筋肉が痛むといった症状が継続的に起こります。
さらに顎周辺の筋肉のこりや痛みが出てきます。こめかみや肩、首すじなどが痛むこともあります。口が開けにくく、動きが制限され、物がよく噛めなくなります。
口を開いた時に、カクカク、ギシギシ音がすることもあります、
されにそれらの症状に伴って、頭痛や耳鳴り、手足のしびれ、めまいなどが起こることもあります。

顎関節症の原因は、いつくか考えられています。
下顎骨の部分と頭蓋骨の部分の間に関節円板という弾力のあるクッションがあります。この円盤が顎の動きに先立って種々に位置を変えますが、これが何かのきっかけでどこかに引っかかってずれてしまいますと、擦れて 炎症が起きたり、余分な筋肉を使おうとがんばって、関節や筋肉の痛みとなります。以下のようなことが原因になります。

(1)かみ合わせの悪さ
(2)治療した歯が高かったり、低かったりした場合
(3)硬いものを噛みすぎた時
(4)歯ぎしりやくいしばりの癖
(5)頬杖などの悪習慣
(6)ストレス、精神的に不安定な状態

治療法は、一般的にはかみ合わせが悪ければその調整をします。少しの調整で済むようであれば、咬合調整と言って、少しだけ充填物や金属の冠を削ります。調整は慎重に少しずつ行うように致します。またかぶせた冠が低い場合、大きな調整が必要であれば冠をかぶせ直す場合もあります。

原因がかみしめやはぎしりによって起こっている場合は、スプリントという歯全体ををガードする透明なプラスチックのかぶせものを、上か下の歯に入れます。直接上下の歯と歯が当たらないことで、顎関節周囲の筋肉の緊張が取れてきて、症状が改善してきます。

さらに外科的な方法として、関節に麻酔薬やステロイド剤を注射する場合もあります。また関節内に針をさしてたまっている滲出液を洗い流し、潤滑液を入れる方法もあります。
さらに重篤な場合は内視鏡での手術や、さらに大きな手術をすることもあります。

一般的にはしばらく安静にして、硬いものをさけていれば改善していきます。私は以下のような様々な自然療法を併用していきます。

(1)セルフマッサージ:顎や鎖骨周辺のマッサージ
(2)湯たんぽ使用
(3)呼吸法
(4)漢方薬
(5)鍼灸

身体を温めて弛めていきますと、改善が早くなってきます。
ただしかみ合わせなどに問題がある場合は、かみ合わせの調整をして頂く必要があります。
またどうしても夜中にかみしめてしまう方には一時的にスプリントをお勧め致します。身体を弛めて頂くとスプリントが手放せるようになります。

顎関節が身体の中でもとても重要と私は考えています。顎関節周辺に緊張があると、全身にさまざまな愁訴が現れるようです。顎関節が身体の中の要のひとつと捉えています。

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