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老いを学ぶ

2013年10月15日

【寄稿】お口の健康(10):「歯の神経を取ったのに、その歯が痛くなるケース」

歯科医師 小倉才子

前回は歯の神経(歯髄)の病気についてお話しました。
歯髄の炎症がさらに進むと、歯の根っこの先に病巣ができます。これを根尖性(こんせんせい)歯周炎と言います。
根っこの周辺は、骨で囲まれていますから炎症が急性化すると膿が出る場所がなくてとても痛みます。さらに進むと根っこの周辺の歯茎が腫れてきます。歯周病では、歯と歯茎の境目が腫れますが、根っこの病気は根の周辺が腫れます。

その原因は外傷時により打撲によるもの、歯が強く当たっていて起こるもの、以前の治療で根の先に感染が残っていた場合などがあります。

以前に歯の神経(歯髄)を取る歯の治療をしたのに、なぜその歯が痛くなるのだろう?という時は、根の先に膿がたまっているからなのです。

また歯にひびが入って根の先に炎症がおこることもあります。
根の先に膿がある場合はレントゲンで骨が黒く抜けて写ります。その部分の骨が炎症で溶かされているということです。 ただレントゲンで黒く抜けた部分が写っても症状がない場合は、慢性化した状態では全く痛みも違和感もないこともあります。そういう場合は、しばらく経過を見て、膿がたまっている部分が大きくなるようなら治療をした方がよいと思われます。症状もなく小さいまま、または小さくなっていく場合はそのままに致します。

しかし一旦症状が出始めると、歯が疼いてきて、原因となる歯をたたくと痛みがあり、歯が浮いて軽く歯が揺れ、持続的に痛みも出てきます。このような状態を急性化すると言います。さらに進むと炎症が歯のまわりの骨の外に出て歯茎が腫れます。このように急性の場合は、かなりの痛みを伴い唇や頬まで腫れてきて、歯茎に膿がたまるようになります。

特に疲れがたまった時、風邪など体調を崩した時に急性化しやすいです。

治療法は感染根管処置と言って、歯の上から穴を開けて、根っこの中をきれいにする治療が必要となります。また膿が出る排出路を作り、さらに抗菌剤を投与します。体験された方も多くいらっしゃると思いますが、歯の中を何度もお掃除するので、かなり回数のかかる治療となります。

また似たような症状が出ますが、歯のまわりを取り囲む歯根膜という膜の炎症もあります。この場合、根っこの先周辺が腫れることはありません。これを歯根膜炎(しこんまくえん)と言います。

症状は歯肉が赤く腫れ、歯が揺れたり、歯が浮く感じなどがあります。ひどいときは歯と歯があたるだけで飛び上るほど痛いという方もいらっしゃいます。

この場合の原因は歯が強く当たっている、どこかにぶつけた、入れ歯を支えている金属が強く当たっているなどの原因が考えられます。

治療は強く当たっている歯があれば調整し、硬いものを噛まない、その歯は使わないなど、しばらく安静に保つと症状が消えることが多いです。
お子さんで歯をぶつけて揺れて痛いというような場合は、この歯根膜炎です。周囲の歯と固定して、痛みと揺れが治まれば治ることもありますが、歯が変色してきた場合は歯の神経が腐ってしまっているので中をきれいにする治療になります。何年か経ってから歯の変色してくる場合もあります。その場合は歯の色や痛みなど経過を見て処置をします。

症状が進んでしまうと、治療にも時間がかかりますし、以前に被せた冠や詰め物も外して処置をし、作り直さなければなりません。また長く炎症を起こした状態をほおっておくと、不快感や違和感が長期にわたって持続することがあります。

突発的な原因は防ぎようがありませんが、虫歯をほおっておくとこのような状態になりますので、早めに歯医者さんで適切な治療をして頂くこと、そして虫歯にならないような生活習慣を心がけることが大切です。

また、定期的に検診を受けることもお勧め致します。

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