「中楽坊」スタイル

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中楽坊の現場から

2020年04月06日

「いいコミュニティは、高齢者に自信と勇気を与える」~中楽坊の実話:2

ライフアテンダントに聞いた、入居者の方々のエピソードを連載しています。

――今回は、60歳代半ばの単身女性のエピソードを聞かせてくださるそうですね。
長年お勤めになった会社を定年退職されたあと、単身ならではの老後不安を解消するために、シニア向け分譲マンションに入居された方です。

――入居者の中では、お若いですよね。
そうですね。でも、60歳代で入居される方はおられますよ。何かあってからでは遅いということで、早めに決断される方です。
それに、80歳代の親御さんとその子供さんが一緒に住まれるというケースもありますから、60歳代がそんなに珍しいというわけではありません。
そもそも、中楽坊は長い高齢期を楽しむための場ですから、若いうちに入られるのがお勧めですね。「介護施設」ではありませんから。

――なるほど。で、その方は入居してからどんな暮らしを?
入居されてすぐだったように記憶していますが、お母さんを亡くされまして。
それで余計に寂しかったと思うのですが、しょっちゅうサポートステーションに来られて、私たちと話をしておられました。孤独を避けるように、あまり自室にはおられず、ロビーや待ち合いスペースで過ごしていましたね。
もともと、社交的という印象はない人で、他の入居者と積極的に関わろうという姿勢もなくて、なかなか馴染めなかったようです。「わくわく倶楽部」やサークル活動にもちょっとは参加したりするようになられましたけど、知り合いはそんなに多くはなかったです。
それで、入居して2年ほどたった頃ですか。体調を崩されて、2週間の入院になってしまったんです。このマンションから近いところですけど。

――単身ですから、不安だったでしょうね。無事、退院されたんですよね。
もちろん。退院してこられたあと、私にこんな話をしてくれました。
「入院していたときは、ほんとに寂しかった。孤独を感じました。夜、病床から“中楽坊”の灯りが見えるの。みんなあそこで、暮らしてるんだなあと思って・・・。入居者の人たちの顔、スタッフの皆さんの顔が浮かびました。毎日、そんなことを思っていて、すっかりホームシックになりました。」
「退院してここに帰ってきたとき、エントランスで入居者の方やスタッフの方から“お帰りなさい”って声をかけてもらって。本当にうれしかった。ここが居場所だって思いました。」

――馴染んでいないように見えたけど、この高齢者向けマンションに対する愛着はあったんですね。
マンションというより、人がいる環境に対する愛着でしょうか。
退院してから、その方は変わりました。

――どんなふうに変わったんですか?
人との関わり方ですね。
入居者は年上の方が多いわけですけど、親子のような感じというか、あまり他人と距離を置かなくなって、よく交流されるようになりました。入院していた2週間で感じた孤独、中楽坊の人たちに対する愛着が、彼女を変えたように思います。
80歳代のある女性とは特に仲良くなって、今はその方のことを「お母さん」って呼んでますよ。待ち合わせして、一緒に大浴場に行っておられるくらい仲良しです。
あるサークルにも参加しておられて、その分野はまったくの初心者で、メンバーのうち女性はその人だけなんですが、熱心に活動されています。
伺うと、今はそれが生きがいになっているということでした。「このマンションに来て、自信ができた」とも言っておられましたね。いいコミュニティというのは、人に自信とか勇気とか、そういうものを与えるように思います。

――中楽坊のコミュニティの特長について、どう感じますか?
皆が同じようなスタンスで参加して、同じように考えて同じように行動する、というのはいいコミュニティとは言えないと思うんですよね。
そういう同質性の高いコミュニティというのはかえって、馴染めない人や孤立者を出してしまう。
そうではなくて、色んなグループがコミュニティの中に混在していて、それぞれが個性的でバラバラに共存しているような状態が望ましいと思います。
そういうコミュニティなら、個人として「こちらがダメでもあちらならOK」と考えることができる。自分の居場所はどこかにあると思える。中楽坊を含めて、いいコミュニティには、バラバラな個人を受け入れる度量や幅があるのではないでしょうか。

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