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高齢期を語る〜著名人インタビュー〜

2015年05月15日

老いの工学研究所提供

鳳 蘭さん ~夢は孫のタカラヅカ初舞台。夢のために健康管理

女優 元宝塚歌劇団トップスター 鳳 蘭さん

鳳蘭さん(69)は、宝塚歌劇団のトップスターとして一時代を築き、退団後もツレちゃんの愛称で女優として活躍する。昨年は100周年を迎えた宝塚歌劇団のOGの「顔」として各方面で古巣をアピール、自身も芸能生活50周年の節目でした。
今年は心機一転新たな年。そんな鳳さんのモットーは「悩まない」こと。「嫌なことはすっぱり忘れて前向きに生きるのよ」こう話す鳳さんの大きな瞳とひまわりのような笑顔を見ていると聞いているこちらも元気いっぱいになります。

―昨年は古巣の宝塚が100周年、ご自身も初舞台から50年ということで節目の年だったんですね。

100年とひとくちに言いますが、やはりすごいことだと思う。これからもずっと続いていってほしいですね。

―鳳 蘭さんが、宝塚に入ったきっかけはどういったところからでしょうか。 

宝塚のことは何も知らず、勧められるまま何も準備せずに宝塚音楽学校を受けて、容姿の美しさだけで入りました(笑)。100周年の式典の時、有馬稲子さんにそのことを言ったら「あなた、私もそうだと言ったでしょ。失礼しちゃうわ」と怒られました(笑)

―でも当時から何かほかに光るものがあったのでしょうね。

歌もダンスもうまくできず、スターになれるなんて全然思わなかったので、4、5年でやめようと思ってました。ところがトップになるだろうって思っていた人ではない人に大きな役がつき、それなら私にもチャンスがあるかもしれないと思って、劇団のレッスンに通い始めたんです。ちょうどそのころ、ショーで目立つ役がついて、私が歌うと客席がざわついたんです。
自分を見て喜んでくださっている、そう思った瞬間からもっと喜んでいただこうと、やる気が出だしたんです。

―鳳 蘭さんの生来の人を喜ばせたいという気質に火が付いたんですね。

そういえば子供のころからみんなの前で歌ったりして拍手をもらうのは好きだったみたいです。今も、客席でつまらなさそうな顔をしている人を見ると、どうやったら喜んでくださるのだろうかと考えますし、笑顔で見てくださっている人にはもっともっと喜んでもらおうと力が入ります。

―宝塚時代は男役で活躍されましたが、退団後も女優としていろんな役を演じられ数々の賞も受賞されました。もし明日「屋根の上のヴァイオリン弾き」のテビエ夫人か「風と共に去りぬ」のレット・バトラーかどちらか好きな方をやれといわれたらどちらを選びますか。

もちろんレット・バトラー(笑)。退団して30年たっても男役はすぐにできます。青春時代に培ったものは身体に染み込んでいて、そう簡単に忘れられないし、形を作るのはその方が楽なんです。女を演じるほうが難しい。自分が女だからでしょうね。

―今年5月には「ハムレット」(蜷川幸雄演出)のロンドン公演にガートルード役(ハムレットの母親)で参加されますね。海外公演は宝塚時代も含めて何度も経験されてますが、シェークスピアのおひざ元ということでの緊張感とかは。

蜷川さん演出のシェークスピア作品でロンドンに行くのは今回が二度目です。現地の蜷川さんの人気は高いので何の心配もしていません。宝塚時代にパリで公演をした時、レビューの本場に日本人が何でレビューを、と言われて悔しい思いをした覚えがあるのですが、蜷川さんは能の手法を取り入れたりして和風に演出されていて、それがイギリス人には真似が出来ないのが強みです。今回もひな人形がうまく使われているのできっと評判になると思います。

―シェークスピアの長い台詞は覚えるのが大変でしょう。台詞覚えのコツは。

若い時に比べると倍ぐらいかかるけどまだ大丈夫(笑)集中して一気に覚えるのがコツ。役者は台詞が覚えられなかったらだめでしょう。覚えられる間は女優続けますよ。出来なくなったら、スマホとかこれまでやれなかったことを一杯やりたい。

―鳳 蘭さんはお若い。若さを保つ秘訣って何かありますか。

悩まないこと。忘れること。それに尽きますね。嫌なことや悲しいことがあったら、もちろん辛いけれど、一晩でさっぱり忘れて何事も前向きに考えること。それが一番。

―病気やけがも聞いたことがありませんね(笑)

おかげさまで大きな病気は一回もありません。健康維持のために時間がある時は近所を1時間ぐらいウォーキングしています。大股で歩くのがコツです。

―今後もますますのご自身のご活躍に期待したいのですが、最近は後進の指導もされているとか。

何もできなかった私も先生や上級生に教えてもらったからここまでできるようになった。その恩返しでしょうか。自宅にスタジオを作って、ダンスや歌を教えています。初心者向けのやさしい教室から宝塚を目指す人たちのコースまで生徒は100人ぐらいかな。宝塚にはすでに4人合格してるんですよ。これからが楽しみです。

―結婚してお子さんが生まれ、現在はお孫さんもいらっしゃると伺っています。お孫さんは女の子ですね。宝塚に入れたいと思いますか。

もちろん!娘2人もそうしてほしかったんですが、かなわなかったので、いまは孫に期待しています。
15年後、孫の宝塚初舞台を見るのがこれからの人生の目標です(笑)
私のファンにもそれまで元気でいてとたのんでいるんです。夢の実現のために健康を管理するっていうのは一番の長生きの秘訣ですよ。
いいでしょう(笑)



2023年11月発売の新刊
「なが生きしたけりゃ 居場所が9割」(川口雅裕)

鳳蘭(おおとり・らん)

女優。兵庫県神戸市生まれ。1962年宝塚音楽学校に入学。64年初舞台。入団当初からエキゾチックな容姿でひときわ目立つ存在だった。70年星組トップに。「風と共に去りぬ」など話題作に数多く主演して宝塚を代表するスターに。79年退団。退団後も女優として活躍。
80年に結婚、二女をもうけ、86年離婚。二女、荘田由紀も文学座の女優。2
005年紫綬褒章を受章。
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